専門的な有機化学をもっと学びたい!という方向けにオススメの教科書を紹介していきます!
教科書のレベル、中身のポイントなど着目ポイント別に記載!
専門書としての教科書購入の目的は?
有機化学は店頭でもネットショッピングでも種類が豊富で困りますよね。
大学生の皆さんは講義で指定された、教授のおススメの教科書を購入されることが多いと思いますが、自分に合う・必要とする教科書って何かを見つめてもいいかもしてません。
専門書って高いですよね。正直購入で失敗したくないと思います。
勉強の目的をはっきりさせることも教科書選びのアプローチとして有効ですよ
目的 | おススメの選び方 |
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授業についていく | ・基本は指定の教科書と配られるプリントで十分 ・補足程度に難易度が高くない教科書を使用 ・教科書が良いならば、バランス型のジョーンズがおススメ |
研究室への進学 | ・自身の実力を元に、研究室の特色が「反応開発系」か 「目的物合成系」かで選ぶ ・先輩のアドバイスを聞く |
大学院入試 | ・内部進学ならば、今まで配られたプリントや過去問、教科書 (誰先生が作るかの情報も結構大事) ・外部進学ならば、目的校の上記内容を参照 ・迷うならば、ウォーレン(対象:旧帝国)を習得で十分 |
趣味 | ・趣味の世界ならば、教科書にこだわらなくてOK ・難易度の高くない総論的な教科書がおススメ |
各教科書の難易度
筆者が習得に使用した教科書からの選出になりますが、記載内容のレベル別ランキングを作成しましたので参照ください。
重視する内容は?
有機化学と言っても、電子軌道、反応機構、合成ルート構築 と様々!
各教科書ごとに重きを置いている項目は違う!自分がどの内容を特に知りたいかも切り口の一つ
教科書別レビュー
マクマリー概説:レベル★★
・ネームド有機化学の教科書では最も導入編として一番使われる教科書
・1冊完結のため他の教科書より安価
・練習問題もついており、回答集も別冊販売だがあり(英語版のみ)
・大学1,2年生レベル、他分野を専門とするならばこれでOK
マクマリー(上・中・下):レベル★★★
・マクマリー概説で説明を要約した部分を補填した教科書
・上、中、下の3冊セットで、サイズも小さく持ち運びやすいことがメリットか
・概説ほど汎用的でなければ、他の教科書の様に詳細でもないので少し中途半端
ジョーンズ(上・下):レベル★★★★
・大学3、4年生レベルとして最適な教科書
・大学院入試でも旧帝国レベル以外は本教科書を理解できれば十分
・反応機構を非常に丁寧に説明してくれるが、理解力が増すにつれて後半くどく感じる
・付属の問題集のレベルが難し過ぎず、復習にちょうどよい。解答書は日本語非対応
・筆者としては導入の1冊(上下巻)としては最もオススメ
ボルハルト・ショアー:レベル★★★★★
・こちらも大学3、4年生レベルとして最適な教科書
・大学院入試で、本レベルの内容を理解できていれば旧帝国であっても歯が立つ
・反応機構よりも多段合成・合成ルート構築に重きを置いている
・付属の問題集は充実しているが、少しくどい。ただし、解答書が日本語対応
モリソン・ボイド:レベル★★★★★★
・色々切り口がマニアックな教科書、改訂版の日本語Verの発行がかなり遅れている
・分子軌道の説明など、有機化学に入る前の導入がかなり手厚い
・基本の教科書と思えないほど付属文献が充実、半分文献の辞書と化す
ウォーレン:レベル★★★★★★
・オーソドックスな教科書の中では、唯一大学院レベルまで通用する
・反応機構も充実、取り扱う反応の掲載種類も随一、問題も大学院入試レベル
・本教科書を理解できていれば旧帝国の院試も全く問題ない
・有機化学を専攻し、職にしていく人ならば必携書 と筆者は思っている。
・筆者としては文句なしのNo.1オススメ教科書
大学院有機化学:レベル★★★★★★★
・有機化学の中でもかなりのハイレベル教科書
・一般的な反応は知っている前提で内容が記載されている
・問題の付属は無し
Advanced Organic Chemistry:レベル★★★★★★★
・日本語版は無し
・有機合成界で最も分厚く、情報量をこれでもか と詰め込んだ至極の一品
・掲載されている反応は一般反応よりも特殊な反応が多く、とにかくマニアックな内容
・付属の文献はもう辞書そのもの、問題の付属は無し
筆者の有機化学勉強履歴(教科書編)
プロフィールに記載しておりますが、筆者は東京大学理学部化学出身 (有機化学 講座)になります。
そんな筆者の有機化学習得に使用した教科書の過程を参考例にします。
大学 1,2年生
・授業のメインとしては、指定のプリントで学ぶことが多かった。
・教科書好きなこともあり、ボルハルト・ショアー(上・下)を一番初めに購入し、基礎を習得
・もう一冊勉強のために、マクマリー(上・中・下)を購入し、習得
大学 3年生
・学部の指定教科書でジョーンズ(上・下)を指定され、基本の再度の総固め
大学 4年生
・院試のため、先輩からウォーレン(上・下)を進められ習得。
・問題集も一応やったが、授業のプリントの方が大事と聞いたので1周程度で満足
・このあたりで、自身の有機合成に対する実力の成長を実感
大学院修士 1,2年生
・講座の授業で大学院有機化学(上・下)が基本教科書だったので、習得
・研究室の先輩の勧めでAdvanced Organic Chemistry(上・下)、ざっと一読
社会人になってから
・学生時代購入できなかった、専門書を半趣味的に購入し読んでいる