
筆者が気になる2024年11月の化学ニュース紹介(2回目)になります。
あまり難しい言葉を使わずに、中・高校生レベルで記事を紹介していきます
食べる日焼け止め!? 横浜油脂工業
ここがポイント
UVケア食品はカプセルタイプが今までは主流
横浜油脂工業はβカロテン乳剤を新たに開発
同社のβカロテン乳剤は水溶性で、飲料やゼリーに簡単に配合可能
もともとβカロテンは緑黄色野菜に多く含まれているカロテノイドの1種。このβカロテンは強い抗k酸化作用がある上に、摂取すると体内でビタミンAに変換され、ほかの栄養素の働きを促進する性質がある。
βカロテンのもう一つの特質すべき良い機能として、摂取後に皮膚へと運ばれ、真皮内でUV波を吸収する役割を果たし、結果としてシミ・シワの予防など老化抑制の機能を有する。
既存のβカロテンをベースにした機能性健康食品はカプセル型が主流であった。理由はβカロテン自身の脂溶性の高さである。
横浜油脂工業は独自の分散技術を応用することで、親水性を向上させることに成功。ドリンクやゼリーといった食品に添加することで他社との差別化に取り組んでいる。また、同社の製品は耐熱性や耐酸性が向上しており、調理上の加熱や胃酸での分解が抑制できる見込み。


「飲む(食べる)日焼け止め」とは強烈なキャッチフレーズ!
引用:β-カロテン乳剤3% |精密洗浄剤製品、カーケミカル製品なら横浜油脂工業株式会社
DMF(ジメチルホルムアミド) 化審法 格下げへ
ここがポイント
有機合成の溶媒として欠かせないジメチルホルムアミド(DMF)
化審法とは「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」
DMFの化審法上の区分が「優先評価化学物質」から「一般化学物質」に
化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)は化学物質ごとに人の健康や環境汚染を切り口としてランク分けして管理を明確化することを目的としている。
DMF(ジメチルホルムアミド)は汎用的な有機合成の反応溶媒である一方で、毒性が環境毒性や人体に対する毒性が高いと疑われていたため、優先評価物質として管理されてきた。優先評価物質は用途別に使用した数量を細かく報告する必要がある。
今回、DMFは長年の調査で問題が生じなかったため、ランクを一般化学物質へ事実上の格下げ扱いとなった。一般化学物質であっても、製造や輸入の数量把握は必須である。


DMFは筆者的には本当にお世話になっている溶媒。結構衝撃を受けたニュース
区分が変わったとはいえ、危険な物質には変わりありません。
引用:DMFとTDI、化審法「優先評価」から「一般」に : 化学工業日報 電子版
PFASフリーの撥水撥油剤開発 日油
ここがポイント
撥水撥油はフッ素系素材の独壇場
世の中的には、フッ素素材はPFAS問題で使用に制限
日油が撥水撥油性の高い非フッ素素材を開発!
昨今のPFAS問題により、世の中的にフッ素系素材の使用が懸念されており、新規代替素材の開発に各社が躍起になっている。その中でコーティング用途として、撥水・撥油性という特性上、従来フッ素系独壇場となっていた。
同社は植物油脂を由来とした「モディパーWR」シリーズを開発し、新規参入する。
WR100という銘柄では撥水の持続性に優れており、持続性をウリにした商品であり。また、WR300という銘柄では無色透明・撥水性、雫の落ちやすさ などが特徴である。加えて、非フッ素系素材の壁であった撥油性も良好であることを確認した。
同社曰く、使用方法としては溶剤で希釈し、スプレーや浸漬で塗工、乾燥して撥水撥油膜を対象となる素材に表面コーティングする。PFAS問題やシリコン系を嫌う素材に広く使用が期待されている。

世の中の動き、制限を見越して新規素材は生まれますね。
フロン問題と言い、代替原料供給は話題として尽きない